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title: 同じ会社に四つの人間関係。給与設計がこじれる理由｜佐藤伸明
description: フィスクの四つの関係モデル：共有、序列、対等、市場価格。同じ会社に四つすべてがあり、別のことを司る。給与設計の失敗の多くは、一つの関係の規則を別の関係に持ち込んだときに起きる。
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# 同じ会社に四つの人間関係。給与設計がこじれる理由

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![同じ会社に四つの人間関係。給与設計がこじれる理由](https://nobusato.jp/hs-fs/hubfs/four-relational-models-and-pay-design-ja.png?width=1200&height=630&name=four-relational-models-and-pay-design-ja.png)

**連載「人は組織図どおりには動かない」** · 第9回／全13回 · 第三部 · 人はなぜ動くのか  
序章：[組織図に載っていない人](https://nobusato.jp/ja/blog/people-not-on-the-org-chart?hsLang=ja)

ある会社が、同僚の残業を手伝った人に「互助手当」を出した。協力を促したかったからだ。三か月後、無償で手伝う人はいなくなり、皆がこの手伝いはいくらになるかを計算し始めた。会社は社員が計算高くなったと思った。実際には、会社が一つの関係を別の関係に差し替えたのだ。

## 四つの関係、四つの規則

人類学者アラン・フィスクは1991年に、人間のあらゆる社会関係は四つの基本モデルに分けられ、それぞれに固有の規則があり、互いに換算できない、と提唱した。

共有（communal sharing）。必要に応じて与え、記録しない。家族、緊密な小集団。規則は「私たちは一つ」。序列（authority ranking）。位置に応じて配分し、上の人が多く受け取り、多く責任を負う。軍隊、等級。規則は「誰が上か」。対等（equality matching）。やり取りを一対一で返す。おごりの順番、貸し借り。規則は「貸し借りなし」。市場価格（market pricing）。比率で換算し、すべてを価格に直せる。給与、売買、賞与。規則は「いくらの価値か」。

フィスクの核心的な観察は、一つの関係の規則を別の関係に持ち込むと、侮辱として感じられる、ということだ。家族の食事のあと母親に食事代を払うのは侮辱で、共有を市場に置き換えたからだ。部下に交代でおごるよう求めるのも侮辱で、序列を対等に置き換えたからだ。この理論は異文化研究で繰り返し確かめられ、論争は主に境界にある。四つで尽くされているか、混合型があるのではないか。だが四つのモデルの区別そのものを疑う人は少ない。

共有必要に応じて、記録しないチームの日常三軌道とも触れない序列位置に応じて配分等級 → 基本給人が等級を決める対等一対一で返す貸し借りの帳簿制度は介入しない市場価格比率で換算賞与・採用時の交渉結果が賞与 / 職位が責任

**Fig.1**フィスクの四つの関係が会社で司るものと、三つの軌道の対応。線の混ざりの典型は、共有関係に市場の手当を出すこと。

## 一つの会社に四つすべてがある

組織は一つの関係ではなく、四つの関係が重なったもので、それぞれが別のことを司っている。

チームの中の日常は共有だ。手が空いている人が手伝い、記録しない。等級の体系は序列で、上の人は基本給が高く、責任が重い。人づきあいは対等で、[貸し借りの帳簿](https://nobusato.jp/ja/blog/the-favor-ledger?hsLang=ja)で書いた借りと貸しがこれに当たる。賞与と採用時の給与交渉は市場で、この人はいくらか、この成果はいくらか。

四つが並び立つこと自体は問題ではない。問題は線が混ざることだ。冒頭の「互助手当」は、チームの中の共有関係を市場価格に差し替えた。一度差し替えると、戻らない。逆向きの間違いもよくある。共有の論理で給与を決め、「みんな同じ、特別扱いはしない」とすると、市場価格の高い人が辞める。自分が他所でいくらかを知っているからだ。

## 設計上の結論：三つの軌道を、三つの関係に対応させる

私が報酬を設計するときの三つの軌道は、人が等級を決め、職位が責任を決め、結果が賞与を決める、というものだ。フィスクの枠組みで見ると、この三つを分ける理由は、対応する関係が三つとも違うからだ。

等級が基本給を決める。これは序列の関係で、位置に応じて与え、安定していて、短期の成果で揺れず、自分が組織のどの層にいるかを本人に伝える。職位が責任の報酬を決める。これは市場価格と序列の境目で、一つの責任モジュールが市場でいくらか、それを担う人が受け取る。結果が賞与を決める。これは純粋な市場価格で、出した成果を比率で換算する。

そしてチームの中の共有関係には、三つの軌道のどれも触れない。互助手当を設けず、「チーム精神」を採点せず、同僚を手伝うことを金に直さない。共有関係は記録しないことで成り立っていて、記録した瞬間に消える。

日本の文脈で特に注意したい点でもある。日本の組織の共有関係は欧米より強いことが多く（[場](https://nobusato.jp/ja/blog/tate-society-and-matrix-management?hsLang=ja)の求心力）、市場の論理で触れたときの反動は欧米より大きい。一方で日本の組織は序列の関係が強すぎて、等級が責任ではなく年功で決まることが多い。これも線の混ざり方の一つで、市場価格で決めるべき場所に序列の規則を使っている。

## 方法論への接続

組織診断のパターンの層では、会社の各制度がどの関係の規則を使っているかを見て、線が混ざっている場所を探す。報酬の問題の多くは、ここまでで見えてくる。[五割の昇給でも辞めた](https://nobusato.jp/ja/blog/a-50-raise-and-he-still-left?hsLang=ja)の記事の人が辞めたのは、会社が序列の関係の問題を市場価格で解こうとしたからだ。

自社の直近の給与改定は、四つのうちどの関係に触れただろうか。

**連載**  
前回：[人を増やすと、一人あたりの力は落ちる](https://nobusato.jp/ja/blog/ringelmann-effect-add-people-pull-less?hsLang=ja)  
次回：[やる気は、組織の形で決まる](https://nobusato.jp/ja/blog/motivation-is-a-design-decision?hsLang=ja)

責任で決める部分がいちばん生きるのは、定年後再雇用で役割を組み直す場面だと思う。[定年後再雇用の5年間](https://nobusato.jp/ja/blog/rehired-after-retirement-age?hsLang=ja)で詳しく書いた。

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