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title: 定年後再雇用の5年間：給与と役割の決め方｜佐藤伸明
description: 定年後再雇用の賃金は60代前半で58歳時より2〜3割低いと年金記録の研究から推計できる。名古屋自動車学校事件、高年齢雇用継続給付の10%への縮小を確かめ、60歳前に役割を組み直す方法を考える。
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# 定年後再雇用の5年間：給与と役割の決め方

[佐藤伸明](https://nobusato.jp/ja/profile?hsLang=ja)

![定年後再雇用の給与と役割の組み直しを示すカバー画像](https://nobusato.jp/hs-fs/hubfs/rehired-after-retirement-age-ja.png?width=1200&height=630&name=rehired-after-retirement-age-ja.png)

60歳の誕生月を過ぎた翌月から、同じ机で同じ仕事をして、給与明細の額だけが変わる。定年後再雇用について50代の人が不安に思うのは、たいていこの光景だと感じている。下がること自体は覚悟している。納得できないのは、何が変わったから下がるのかを誰も説明してくれないことだと思う。

人事の側にいる人間として、この説明不足は制度の問題であって、本人や現場の上司のせいではないと感じている。ただ、60歳になる前に自分で組み立てられる部分も意外と多い。法律と数字を確認したうえで、役割の組み直し方を考えてみたい。

## 法律は65歳までの雇用を約束している

高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保措置を企業に義務づけている。選択肢は定年の引上げ、定年制の廃止、継続雇用制度の導入の三つで、継続雇用の対象者を労使協定の基準で絞れる経過措置は2025年3月31日で終わった（[東京労働局・ハローワーク飯田橋の案内](https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/iidabashi/jigyounushi/kounenreishakoyou_00001.html)）。2026年10月時点では、希望すれば原則として65歳まで働ける。

70歳までは努力義務で、2021年4月施行の改正により、定年の引上げや継続雇用に加え、業務委託契約や社会貢献事業で働き続ける形も選択肢に入った（[厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html)）。

実施状況は、厚生労働省の令和7年「高年齢者雇用状況等報告」（2025年6月1日時点、同年12月公表）に出ている。65歳までの措置を実施済みの企業は99.9%で、そのうち継続雇用制度が65.1%、定年の引上げが31.0%。70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%だった（[厚生労働省 報道発表](https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66853.html)）。多数派は、いまも「60歳でいったん定年、その後は有期の嘱託で再雇用」という形だ。

法律が約束しているのは、あくまで雇用の場である。給与の水準や仕事の中身までは決めていない。

## 給与はどのくらい下がるのか

個人単位の記録で見た研究として、山田篤裕・四方理人両氏が厚生年金の「匿名年金情報」を分析した論文がある（[日本労働研究雑誌 2024年7月号](https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2024/07/pdf/053-069.pdf)）。58歳時点の賃金を100とすると、所得が真ん中の層の男性は、どの生まれ年でも61歳時点で80を下回り、63歳では70程度になっていた。かつては下がりにくかった高所得層も、1953年度生まれ以降は真ん中の層とほぼ同じ水準まで下がっている。

この分析から私なりに推計すると、60代前半の賃金は58歳時より2〜3割ほど低いのが平均的な姿になる。あくまで推計で、対象は厚生年金に入ってフルタイムで働き続けた男性、データは2016年度までだ。平均の裏には会社ごとの大きな差があるので、自分の会社の規程で確かめるほかない。

## 名古屋自動車学校事件は何を問うたのか

「同じ仕事なら、どこまで下げてよいのか」を正面から争ったのが名古屋自動車学校事件だ。定年後に嘱託として再雇用された教習指導員の基本給が大きく下がり、一審・二審は、基本給が定年時の60%を下回る部分を不合理な格差と判断した。

最高裁第一小法廷は2023年7月20日、この判断を破棄して名古屋高裁に差し戻した（[令和4年（受）第1293号](https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92208)）。理由は、基本給がどんな性質と目的を持つのか、労使交渉がどう進んだのかを十分に検討していない、という点にある。最高裁は「60%なら適法」とも「60%未満なら違法」とも言っていない。

差戻し後の名古屋高裁（2026年2月26日判決）は、労政時報の判例紹介によると、この会社の基本給は職務給の性質が大きく、具体的な労使協議もなかったとして、基本給が一定額を下回る限度で旧労働契約法20条違反と判断した（[労政時報 第4119号 目次](https://www.rosei.jp/attach/readers/backnumber/pdf/4119.pdf)）。

現在この考え方はパートタイム・有期雇用労働法8条に引き継がれている。待遇差が不合理かどうかは、職務の内容、職務内容と配置の変更の範囲、その他の事情の三つを、待遇ごとの性質と目的に照らして判断する（[厚生労働省 パートタイム・有期雇用労働法の解説](https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/reform/index.html)）。定年後の再雇用であること自体は、2018年の長澤運輸事件最高裁判決で「その他の事情」として考慮されるとされた（[判例解説](https://thomsonreuters.co.jp/ja/westlaw-japan/pdf/column_law/20180614-02.pdf)）。

私なりに読むと、下げること自体は許されるが、何の対価としてのお金をなぜ下げたのかを説明できる設計と協議が求められている、ということだと思う。ここは一般的な情報で、個別の事案は総合労働相談コーナーや弁護士に相談してほしい。

## 高年齢雇用継続給付は15%から10%へ

賃金の目減りを国が一部埋めてきたのが、雇用保険の高年齢雇用継続給付だ。60歳に達する日が2025年4月1日以降の人から、支給率の上限が賃金の15%から10%に下がった（[厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00043.html)）。上限の10%が出るのは60歳時点の賃金の64%以下に下がった場合で、75%以上なら支給はない。

単純化した計算で、60歳時に月40万円の人が24万円で再雇用されると、従来なら月3万6千円、いまは2万4千円になる。月1万2千円、5年で70万円ほどの差だ。この給付を前提にしたと思われる「6割強」の再雇用賃金を置いている会社も、その水準のままでいいのか、見直す時期に来ている。

## 役割を責任モジュールで組み直す

ここからは私の考えになる。再雇用でいちばんこじれるのは、仕事が同じで、肩書きが消え、給与だけが下がる組み合わせだと思う。法的にも説明しにくく、本人の意欲も落ちる。

私は賃金を、等級で決める基本給、担う責任で決める部分、成果で決める賞与の三本に分けて考えている（[四つの関係モデルと賃金設計](https://nobusato.jp/ja/blog/four-relational-models-and-pay-design?hsLang=ja)）。真ん中の部分は、仕事を「責任モジュール」に切り分け、そのモジュールに市場でいくらの値がつくかで決める。再雇用はこの考え方がいちばん生きる場面だ。

60歳まで（課長） 再雇用後（専門職・アドバイザー） 部下の評価・配置 部門予算の責任 技術・品質の最終判断 主要顧客との関係 後任の育成（新たに明文化） 技術・品質の最終判断 主要顧客との関係 後任の育成（期限と成果物つき） 手放す：評価・予算 給与は残すモジュールの値で決める

**Fig.1**部下の評価や予算の責任を手放し、技術判断や顧客関係は残し、後任育成を期限つきで新たに担う。何を手放したかが見えれば、給与が下がる理由も説明できる。

課長だった人なら、部下の評価と予算の責任は手放す。技術や品質の最終判断、長年の顧客との関係は残す。そして後任の育成を、期限と成果物のある正式な責任として新たに持つ。手放したモジュールの分だけ給与が下がるなら、本人も周りも理由がわかる。残したモジュールの値まで削っているなら、それは設計を見直すべきサインだ。

役割そのものの質も確かめたい。裁量もフィードバックもない「相談役」は、誰が座っても長続きしない（[人より先に役割を採点する](https://nobusato.jp/ja/blog/score-the-role-before-the-person?hsLang=ja)）。

## 条件が示される前に

会社が再雇用の条件を示すのは、定年の数か月前であることが多い。そこから交渉しても、選べる幅は狭い。できれば57、58歳のうちに、上司や人事と次の三点を言葉にしておきたい。残すモジュールと手放すモジュール。勤務日数や時間を減らす代わりに単価をどう考えるか。そして、賞与や手当のうちどれが「何の対価」として残るのか。

あわせて、自分の市場価値を一度外で確かめておくと、社内の話し合いでも落ち着いていられる。名目賃金が長く横ばいだった時代の相場観を前提にすると、自分の値段を低く見積もりがちだ（[戦後日本の賃金の推移](https://nobusato.jp/ja/blog/japan-wages-since-1945?hsLang=ja)）。

## 再雇用以外の道

転職は現実的な選択肢になっている。60歳前後で採用されやすいのは、特定の顧客基盤や、他社に教えられる専門性を持つ人だ。40代以降の転職で問われることは、60歳でも基本的に変わらない（[40代からの転職](https://nobusato.jp/ja/blog/changing-jobs-after-40?hsLang=ja)）。

業務委託は、70歳までの努力義務の選択肢にも入った形だ。単価は上げやすいが、雇用ではなくなるので、労働法の保護や雇用保険の給付からは外れる。顧問先を一社に頼るなら、実態は再雇用より不安定になりうる。

名古屋の差戻し判決が他の会社の賃金設計にどこまで影響するかは、私にはまだ読み切れない。これからの判例を見るしかない。責任モジュールで切り分ける方法も、職務の境目がはっきりしない小さな会社では、きれいには当てはまらないかもしれない。

60歳からの5年間を「余生の延長」と見るか「役割を選び直す最初の機会」と見るかで、交渉の中身は変わる。手放すモジュールを会社に決められる前に、自分で一つ選んで面談に持っていく。それだけで、条件提示の場は説明を聞くだけの時間から、すり合わせの時間に近づくと思う。

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