---
title: 人材マップは名簿ではない。本当に答えている問いは何か
description: 人材マップが本当に答えるのは「採れないとき、どの要件を手放すか」だ。要件は掛け算で母集団を狭め、企業は領域との距離で三つの輪に分ける。交わりが薄いのは発見であって失敗ではない。
image: https://nobusato.jp/hubfs/talent-map-is-not-a-list-cover-ja.png
---

[佐藤伸明 Nobu Sato](https://nobusato.jp/home?hsLang=ja)

[ホーム](https://nobusato.jp/home?hsLang=ja) [プロフィール](https://nobusato.jp/ja/profile?hsLang=ja) [記事](https://nobusato.jp/ja/blog?hsLang=ja) [お問い合わせ](https://nobusato.jp/ja/contact?hsLang=ja)

[日本語](https://nobusato.jp/ja/blog/talent-map-is-not-a-list)[English](https://nobusato.jp/en/blog/talent-map-is-not-a-list)[中文](https://nobusato.jp/zh/blog/talent-map-is-not-a-list)

[組織と採用](https://nobusato.jp/ja/blog/tag/組織と採用)

# 人材マップは名簿ではない。本当に答えている問いは何か

[佐藤伸明](https://nobusato.jp/ja/profile?hsLang=ja)

![人材マップの三つの輪：対象領域からの距離で企業を分ける図](https://nobusato.jp/hs-fs/hubfs/talent-map-is-not-a-list-cover-ja.png?width=1200&height=630&name=talent-map-is-not-a-list-cover-ja.png)

人材マップの依頼は、たいてい「この職種をできる人を市場から洗い出してほしい」という言葉で始まる。

そのたびに、少し水を差すことにしている。名簿は作れるが、名簿そのものにはあまり価値がない。何人いて、どの会社にいるかは、慣れた人なら二日もあれば並べられる。難しいのは別のところにあり、依頼する側がまだ考えていないことが多い。

人材マップが本当に答えている問いは、「このポジションが採れなかったとき、どの要件を手放すか」である。

## なぜ採用はいつも途中で止まるのか

要件が足し算ではなく、掛け算だからだ。

要件を三つ書き、それぞれが市場の半分を落とすとする。残るのは八分の一。そこに語学を一つ、業界経験年数を一つ足すと、母集団には数人しか残らない。しかもその数人は、たいてい今の職場で満足している。

紙の上では筋が通って見える求人票でも、母集団はほとんど空ということが起きる。書き方が悪いのではなく、掛け算の性質だ。だからどの採用も一度は止まる。違いは、止まったときに手放す要件を先に決めてあるか、消耗の末になし崩しに決まるかにある。

候補者全体100%要件 150%要件 225%要件 312.5%+ 語学6.25%+ 年数3.1%一つごとに半分

**Fig.1**要件は掛け算で効く。三つで八分の一、さらに二つ足すと母集団には数人しか残らない。

なし崩しに手放した要件は、毎回違う。半年で三人採ると、三人は互いに比較できず、採用の責任者も誰を探していたのか説明できなくなる。

私自身、英語と日本語の両方を使うITプロジェクトマネージャーを、限られた予算で探したことがある。半年探して、母集団に残る数人は誰も動かなかった。最後に手放したのは「日本語がネイティブレベル」という一行で、会議と文書に困らなければよい、に変えた。それから一か月で入社が決まった。振り返ると、半年止めていたのは市場ではなく、その一行だった。

## 手放す順番はどう決めるのか

ポジションを独立した要件に分け、それぞれに二つのことを書き込む。入社後に身につくまでどれくらいかかるか、そしてその能力はいつか失効するか。

順番はそこから決まる。身につくのが早い要件から手放し、身につかない要件は守る。

正反対の性質を持つ要件が二種類あって、何度も同じ場面を見てきた。

一つは行動面の要件だ。毎日同じことを繰り返し、毎日断られる仕事、たとえば店舗への飛び込みや電話営業に必要な耐性は、あるかないかで、入社後に教えることができない。いちばん「柔らかく」見える要件が、実はいちばん硬い。ここを手放すと、ゆっくり育つのではなく、三か月以内の退職として表れる。

もう一つは、深い領域知識だ。業界の概念ではなく仕組みを理解するには、少なくとも十二から十八か月かかる。しかも社内に教えられる人がいることが前提になる。

その間に挟まっているのが、語学、学歴、経験年数である。この三つはいちばん目立ち、いちばん確認しやすいので、譲れないように見える。実際には、最初に手放すべきなのはたいていこの三つで、直感とちょうど逆になる。先ほどのプロジェクトマネージャーで手放したのも、この種類だった。

## 企業名簿をどう並べれば、取捨が見えるか

名簿を平らに並べても、どの要件が人を落としているかは見えない。私は対象領域からの距離で、企業を三つの輪に分けている。

第一の輪は、同じ課題、同じ仕事、同じ顧客。たいていは競合そのものだ。母集団はいちばん小さく、コストはいちばん高く、引き抜きの摩擦もいちばん大きい。

第二の輪は、違う商売で、同じ領域知識か、同じ行動特性を持つ人たち。川上と川下、隣接業界、そして「別の商品を、同じ顧客に、同じ日課で売っている」人。この輪は費用対効果がいちばん良いことが多く、同時にいちばん狭く定義されがちでもある。

第三の輪は、手放すと決めた要件は満たし、守ると決めた要件を欠く人たち。社内に教えられる人がいて初めて使える輪で、それがなければ育成のない採用になる。

職種123第一の輪同じ課題・同じ仕事・同じ顧客母集団最小、コスト最大第二の輪違う商売、同じ領域知識か行動特性費用対効果が最良、狭く引かれがち第三の輪手放す要件は満たし、守る要件を欠く教えられる人がいることが前提

**Fig.2**対象領域からの距離で三つの輪に分けると、取捨が見える。

行動面が中心の職種では、第二の輪は「どの業界か」ではなく「毎日何をしているか」で引く。飲料を売る訪問営業と決済端末を売る訪問営業は、同じ種類の店を回り、同じ種類の断られ方をしている。業界で輪を引くと、この人たちがまとめて抜け落ちる。

## 地方拠点で人が採れないのはなぜか

第一の輪の厚みが場所によって違うのに、拠点を開く前にそれを測っている会社が少ないからだ。

東京の第一の輪は厚く、どの供給源もある。地方都市では、同じ職種の第一の輪が空ということが普通に起きる。そのとき取れる道は二つで、外側の輪の人を長めの立ち上がり期間込みで受け入れるか、組織のほうを第一の輪がある場所へ寄せるかだ。これは人材の判断であり、拠点の場所を決める前にしておくべきで、開いて半年経って採れないと気づくものではない。

私はある会社で、地方拠点をいくつか開いた。いちばん空だった輪は、拠点長だった。同じ事業の経験があり、ゼロからチームを率いられる人は、地元の市場にいない。そこで順番を逆にした。先に拠点長を探さず、まず現場の担当者を現地で採り、人数が揃って業務が回り始めてから拠点長を探す。候補者から見えるのは白紙ではなく、人がいて仕事が動いている拠点になり、来てくれる人が増えた。

アウディがF1に参入するにあたり、技術拠点をドイツではなく英国に置いたのは、同じ論理の公開版だ。F1の人材の第一の輪は英国にあり、組織が人のほうへ動いた。[「アウディF1の最初の一年」](https://nobusato.jp/ja/blog/audi-f1-org-talent-map?hsLang=ja)で書いたとおりである。

## 交わりが薄いときはどうするか

要件を分け、三つの輪を引き、企業と要件を重ねると、狙うべき集団が見える。守る要件をすべて持ち、手放す要件だけを欠く人たちだ。この交わりが探索の出発点になる。

交わりは薄いことが多い。薄いこと自体が一つの発見であって、失敗ではない。「もう少し探そう」の理由ではなく、判断の分かれ目として扱うべきものだ。

取れる手は限られていて、先に一つ選んでおくのがよい。いちばん近い人を採って欠けた能力を補う。手放す要件で採り、守る要件を社内で育てる。ポジションを二人に分け、要件を分担する。順に、立ち上がり期間の生産性低下、フル稼働までの時間の長さ、人員枠の一つ増加が代償になる。

三つ目は、見過ごされすぎている。希少性の問題を人員枠の問題に置き換える手で、後者のほうがたいてい解きやすい。難しさが個々の要件の希少さではなく、要件の組み合わせの希少さから来ているときは、とくにそうだ。

## 同じ人でも、組が違えば別の人になる

ここまでの話には、まだ触れていない層が一つある。

要件、輪、交わり。どれも分析の単位は個人だ。個人の単位では、「誰と誰を組ませれば勝てるか」には答えられない。新市場の立ち上げチーム、コンサルティングの案件チーム、創業の中核メンバーのように、小さなチームが仕事の単位になる場面では、それこそが唯一の問いになる。

すでに一緒に修羅場をくぐった組は、個々の能力が市場最高でなくても、より強い五人を寄せ集めた組より成果を出すことが多い。逆に、噛み合っていた組を解体すると、その価値はその瞬間に失われる。経験の深い一人が若い組に入れば、組全体を中位から上位に引き上げられる。同じ人が、すでに芯のある組に入っても、上積みはほとんどない。

だから人材マップの最後の層が答えるのは、「この人たちは誰か」ではなく「この人たちをどう置くか」である。[面接で証拠を集める](https://nobusato.jp/ja/blog/what-i-look-for-in-interviews?hsLang=ja)ときの考え方と同じで、見ているのは肩書きではなく、出来事と状況だ。

## まだ答えが出ていないこと

この方法は、人は簡単には動かない、という前提に立っている。契約が短く、移籍が公然と行われ、移籍期間まで決まっているような流動性の高い市場では、人を見つけること自体は難しくない。引き抜きが市場の仕組みそのものだからだ。そこでは人材マップの価値は「誰を見つけるか」から「誰と誰を組ませれば勝てるか」へ丸ごと移る。日本の市場はまだそこから遠い。ただ、ずっと遠いままかどうかは、わからない。

最近いちばん採れなかったポジションで、最後に譲った要件は何だっただろうか。それは先に決めたものだったか、それとも追い込まれて決まったものだったか。

---

記事にするほどではない日々の気づきは、LinkedIn に書いています。[LinkedIn をフォローする](https://www.linkedin.com/in/realnobusato/)

## 同じ連載の記事

- ### [日本のリファレンスチェックで、実際にわかること](https://nobusato.jp/ja/blog/background-checks-in-japan?hsLang=ja)
  
  日本でリファレンスチェックをしても、前職の人事が答えるのは在籍の事実くらいだ。法律上聞けないこと、内定前に済ませる理由、推薦者に何を確かめるか。採用の現場から整理する。
- ### [書類選考のあと、面接で私が探しているもの](https://nobusato.jp/ja/blog/what-i-look-for-in-interviews?hsLang=ja)
  
  書類選考でできるのは分類までで、面接では証拠を集めている。書き留めるのは形容詞ではなく出来事だ。そのときの条件、取捨選択、結果と代償。候補者、とくに箱をまたぐ人へ。
- ### [トップが二人いる組織は、いつうまくいくのか](https://nobusato.jp/ja/blog/when-two-heads-work?hsLang=ja)
  
  共同CEOの会社は、大きく勝つか大きく負けるかに分かれやすい。Netflix、SAP、Salesforceの公開事例から成否を分ける条件を整理し、日本法人によくある「事実上の二頭体制」にあてはめて考える。

[← 記事一覧へ](https://nobusato.jp/ja/blog?hsLang=ja)

## 日本市場での立ち上げについて、三言語で書いています。

[プロフィール](https://nobusato.jp/ja/profile?hsLang=ja) [お問い合わせ](https://nobusato.jp/ja/contact?hsLang=ja)

佐藤伸明 / Nobu Sato

日本市場での立ち上げについて、三言語で書いています。

[info@nobusato.jp](mailto:info@nobusato.jp) [LinkedIn](https://www.linkedin.com/in/realnobusato/) [X](https://x.com/nobusato5888)

© 2026 佐藤伸明

```json
{
  "@context" : "https://schema.org",
  "@type" : "BreadcrumbList",
  "itemListElement" : [ {
    "@type" : "ListItem",
    "item" : "https://nobusato.jp/home",
    "name" : "ホーム",
    "position" : 1
  }, {
    "@type" : "ListItem",
    "item" : "https://nobusato.jp/ja/blog",
    "name" : "記事",
    "position" : 2
  }, {
    "@type" : "ListItem",
    "item" : "https://nobusato.jp/ja/blog/talent-map-is-not-a-list",
    "name" : "<span id=\"hs_cos_wrapper_name\" class=\"hs_cos_wrapper hs_cos_wrapper_meta_field hs_cos_wrapper_type_text\" style=\"\" data-hs-cos-general-type=\"meta_field\" data-hs-cos-type=\"text\" >人材マップは名簿ではない。本当に答えている問いは何か</span>",
    "position" : 3
  } ]
}
```

```json
{
  "@context" : "https://schema.org",
  "@type" : "BlogPosting",
  "author" : {
    "@type" : "Person",
    "name" : "Nobu Sato",
    "url" : "https://nobusato.jp/ja/blog/author/nobu-sato"
  },
  "dateModified" : "2026-10-23T08:58:51.445Z",
  "datePublished" : "2026-10-23T08:58:51.000Z",
  "headline" : "人材マップは名簿ではない。本当に答えている問いは何か",
  "image" : [ "https://nobusato.jp/hubfs/talent-map-is-not-a-list-cover-ja.png" ],
  "mainEntityOfPage" : {
    "@id" : "https://nobusato.jp/ja/blog/talent-map-is-not-a-list",
    "@type" : "WebPage"
  },
  "publisher" : {
    "@type" : "Organization",
    "logo" : {
      "@type" : "ImageObject",
      "url" : "https://nobusato.jp/hubfs/nobusatojp-1.jpg"
    },
    "name" : "nobusato.jp"
  }
}
```