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title: 書類の30秒のあと、面接で私が探しているもの
description: 書類を読む30秒は分類の時間で、面接では証拠を集めている。書き留めるのは形容詞ではなく出来事だ。そのときの条件、自分の判断、結果と代償。候補者、とくに職種をまたいできた人へ。
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# 書類の30秒のあと、面接で私が探しているもの

![書類の30秒の分類から、面接で条件・判断・行動・代償の証拠を集める流れを示した図](https://nobusato.jp/hs-fs/hubfs/what-i-look-for-in-interviews-cover-ja.png?width=1200&height=630&name=what-i-look-for-in-interviews-cover-ja.png)

前回の[「分類は運命を決める」](https://nobusato.jp/ja/blog/classification-is-destiny?hsLang=ja)で、書類一通に私がかける時間はだいたい30秒で、その間にしているのは分類だと書いた。書き終えてから、半分しか書いていない気がしていた。

30秒で、どの山に入るかが決まる。面接に進むと、私のやることが変わる。分類をやめて、証拠を集め始める。

## 書き留めるのは出来事で、形容詞ではない

私の評価シートには、どの項目の横にも必須の欄がある。証拠の欄だ。書くのは「コミュニケーション力が高い」ではなく、「どんな条件で、何をして、どうなったか」。この欄が空いていれば、隣の点数は数えない。

だから候補者が「推進力には自信があります」と言っても、その一文はいったん脇に置いて、次の一文を待つ。次に具体的な出来事が出てきたら、そこから書き始める。

 候補者の言葉「推進力には自信があります」いったん脇に置く書き留めること条件：権限・人・予算行動：実際に何をしたか結果：どうなり、何を払ったか

**Fig.1**証拠の欄が空いていれば、点数は数えない。

営業戦略の責任者の候補者と面接したことがある。あれもやった、これもやったと、話を聞く限りはひと通り経験している。ところが一件選んで、そのときの条件と自分の判断を話してほしいとお願いすると、言葉が止まり、また経験した項目を並べる話に戻ってしまった。面接が終わったとき、証拠の欄に書けることはほとんど残っていなかった。

## 一つの出来事を、四つの地点まで掘る

候補者が一つの出来事を話すとき、私は追加の質問で、次の四つの地点まで順に連れていく。

1. そのときの条件。引き継いだ時点の状態、使える権限、人、予算、制約。
2. 自分の判断。AもBも選べたなかで、どちらを選び、なぜそうしたか。
3. 実際の行動。具体的に何をし、誰が反対し、どう対応したか。
4. 結果と代償。何を払ったか。成果のうち、市場が運んできた分、前任者が整えていた分、自分がやった分はそれぞれどれくらいか。

面接の準備で多くの人が用意しているのは、三つ目だけだ。一つ目と四つ目が抜けると、どうしてもよく練習された成功談に聞こえる。

私がいちばん気にしているのは四つ目である。職務経歴でいちばん大きなノイズは、環境がもたらした成果と自分の成果が混ざっていることだと感じている。景気のよかった数年は、追い風に押されて数字が伸びた人も多い。それで減点はしない。ただ、風がどれくらい吹いていたかは知っておきたい。

 1そのときの条件権限・人・予算・制約2自分の判断AかBか、なぜか3実際の行動何をし、誰が反対したか4結果と代償何を払ったか多くの人が用意しているのはここだけ練習した話から抜けやすい練習した話から抜けやすい市場前任者自分

**Fig.2**四つの地点。一つ目と四つ目が、練習した話からいちばん抜けやすい。

## なぜ「そのとき」を何度も聞くのか

やり方は覚えられるが、そのときの条件はつじつまを合わせにくい。部下は何人いたか、予算はいくらか、上司からどこまで任されていたか。二段階ほど聞くと、実際に経験していない人の話はぼやけてくる。

選ばなかった案についても聞く。練習した話には、たいてい良い面しか出てこない。選ばなかった道を聞けば、本当に比べて決めたのかが見えてくる。

同じ出来事を、少し間をおいて別の角度からもう一度聞くこともある。先に結果を聞き、しばらくしてから、いちばん強く反対した人が何を言っていたかを聞く。二つが合わないところを、私は書き留める。

嘘を見抜くためではない。多くの人は嘘をついていない。記憶が話をきれいに整えてしまうだけだ。見たいのは、整えられる前の形である。

## 動機は「何を重視するか」では聞かない

「お金と成長、どちらを重視しますか」という質問は、ほとんどしない。答えがだいたい同じになるからだ。

代わりに、これまでの転職で本当に辞めた理由と、次の会社を選んだ理由を聞く。口で言うことと、足で投じた票は、一致しないことが多い。成長を重視すると言いながら、三回の転職がすべて年収アップのためだった人なら、私は年収で動く人として理解する。それ自体は悪いことではない。ただ、知っておく必要がある。お金と引き留めの関係については、[別の記事](https://nobusato.jp/ja/blog/a-50-raise-and-he-still-left?hsLang=ja)に書いた。

## 失敗を話せない人

失敗については必ず一度聞く。謙虚さを見たいわけではない。人がプレッシャーの下でどう崩れるかは、順調なときには見えないからだ。

本当の失敗が出てこない場合、その欄は空けておく。空欄は0点ではなく、次の面接で引き続き聞くという意味だ。ただ、最終面接まで空いたままだと、少し心配になる。

## 箱をまたいできた人へ

前回、分類しにくい人は書類選考で不利になると書いた。面接に進むと、その事情は少し変わる。

箱は肩書きと業界で引かれ、証拠は出来事で記録される。肩書きは持ち運べないが、出来事のなかの条件、判断、代償は持ち運べる。物流の会社で下した一つの判断は、決済の会社の面接官にもちゃんと伝わる。

私自身、エンジニアから人事に移ったときの面接では、終始ひとつのことを確かめられていた。人事の経験はない。それでも、手持ちの力でこの仕事が務まるのか。肩書きは役に立たず、出せるのはこれまでにやってきたことだけだった。

だから、なぜこれほど職種を変えてきたのかの説明に、時間を使いすぎないほうがいいと思っている。二つか三つの出来事を選び、四つの地点まで話しきる。どの箱に入れるかは、面接官に任せればいい。

## まだ答えが出ていないこと

面接官の側から見ると、この聞き方には代償がある。話をまとめるのがうまい人に有利で、仕事はできるのに説明が得意でない人には、必ずしも公平ではない。母語でない言語で面接を受けている人なら、なおさらだ。これについては、まだいい方法が見つかっていない。今できるのは、「そのとき」をもう一度聞いて、具体的な話へ進むきっかけを渡すことくらいだ。

最近受けた面接で、いちばん具体的に聞かれた質問は何だっただろうか。

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