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title: 責任者が不在のとき、日本法人では誰が決めるのか｜佐藤伸明
description: 1629年のバタヴィア号の遭難では、幹部が救援を求めて島を離れ、権力の空白を初航海の下級商人が埋め、百人以上が命を落とした。新拠点で責任者が出張するたびに生じる空白を埋める人は、適性ではなく、誰が先に立つかで決まる。
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立ち上げの実務

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1. [1629年、水のない島](https://nobusato.jp/ja/blog/who-decides-when-the-boss-is-away#s1)
2. [空白は、適した人ではなく、先に立った人を選ぶ](https://nobusato.jp/ja/blog/who-decides-when-the-boss-is-away#s2)
3. [不在の前に決めておくこと](https://nobusato.jp/ja/blog/who-decides-when-the-boss-is-away#s3)

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# 責任者が不在のとき、日本法人では誰が決めるのか

指名がなければ、空白は先に動いた人か机の上の山が埋める

[佐藤伸明](https://nobusato.jp/ja/profile?hsLang=ja)約5分

目次3

1. [1629年、水のない島](https://nobusato.jp/ja/blog/who-decides-when-the-boss-is-away#s1)
2. [空白は、適した人ではなく、先に立った人を選ぶ](https://nobusato.jp/ja/blog/who-decides-when-the-boss-is-away#s2)
3. [不在の前に決めておくこと](https://nobusato.jp/ja/blog/who-decides-when-the-boss-is-away#s3)

法人の責任者が本社の会議で二週間いない。その間に日本の事務所でいくつかのことが起きた。顧客が契約の緊急変更を求めた。社員が退職を申し出た。労働基準監督署から照会の文書が届いた。誰が対応するのか。組織図には書いていない。で、どうなったか。顧客の件は、いちばん急いでいた営業が自分で承諾した。退職の件は誰も受け止めず、社員はそのまま去った。労基署の文書は机の上で二週間待った。

小さな権力の空白である。ただ、小さいと仕組みが見えにくい。そこで、少し遠回りになるが、うんと大きな空白の話から始めたい。

## 1629年、水のない島

1629年、オランダ東インド会社の商船バタヴィア号がオーストラリア西岸の群島で座礁した。約二百人が生き残ったが、島に淡水はなく、食料も少なかった。船長と上級商務員は小舟でジャワへ救援を求めに向かい、出発するとき、明確な指揮の取り決めを何も残さなかった。

その空白を埋めたのがイェロニムス・コルネリスだった。初めての航海の下級商人で、船では正式な権限を何も持っていない。彼はまず自分の仲間を要所に置き、全員に忠誠を誓わせ、反対しそうな人々を「水を探す」名目で別の小島へ送り出し、そして殺し始めた。百人以上が死んだ。同じ生存者の中で、ウィーベ・ハイエスという兵士は水探しの名目で遠ざけられ、本当に水を見つけ、別の島で二十数人を組織した。労働を分担し、武器を作り、低い壁を築き、コルネリスの攻撃を少なくとも三度退け、救援船の到着まで持ちこたえた。

2026年、Asian Journal of Business Ethics に載った歴史事例研究は、コルネリスを現代の「企業サイコパス」の特徴一覧に照らし、ほぼすべてに当たるとし、全体をリーダーシップの自然実験と呼んだ。同じ危機に、二人の人物と、二つの結末があった。もっとも、この診断そのものには留保がつく。四百年の隔たりを越えて一人の人物に心理学的な結論を下すのは、証拠が薄い。一つの事例から普遍の法則を引き出すのも無理がある。それでも、心理学を使わずに読めることが一つある。

指名がなければ、空白は先に動いた人か机の上の山が埋める

法人の責任者が本社の会議で二週間不在だったあいだに、日本の事務所で起きた三つのこと（本文の例）

起きたこと空白を埋めたもの不在の前に書くこと

顧客契約の緊急変更を求めた

→

いちばん急いでいた営業が自分で承諾

→

「この種類はAが決める」と代行者を指名する

社員退職を申し出た

→

誰も受け止めず、社員は去った

→

代行者が受け止め、何を決めたかを報告する

労基署照会の文書が届いた

→

机の上で二週間待った

→

「待つ」と書き、「責任者がX日に帰国し、当日回答する」と返す

バタヴィア号でも、空白は適した人ではなく先に立った人を選んだ。不在の前に、誰が何を決め、何を待つかを紙に書く。

図1　責任者が二週間不在だった日本法人では、契約変更は営業が独断で承諾し、退職は誰も受け止めず、労基署の照会は二週間放置されたので、代行者の指名と「待つ」事項の明記を不在の前に済ませておくべきだ。

## 空白は、適した人ではなく、先に立った人を選ぶ

コルネリスが地位を得たのは、彼がどんな人物だったかより、「誰も指名されていなかった」ことのほうが大きかったと思う。権力の空白は、いわば立候補制で埋まる。欲しがる人、動きの速い人、「今は私に従え」と言える人が、それを手に入れる。この選別の基準は、「誰が適しているか」とほとんど重ならない。ハイエスのほうが明らかに適していたが、彼は遠ざけられた側で、彼のリーダーシップは別の島で、誰も競う相手がいないときにだけ育った。

話を日本法人に戻す。責任者がいない二週間、空白はやはり埋まる。ただし、埋まり方はずっと静かだ（幸い、誰の命もかかっていない）。いちばん急いでいた営業が自分で決めるかもしれない。本社に最も近い人が、自然に連絡窓口になり、やがて承認の窓口になるかもしれない。あるいは誰も決めず、すべてが二週間待つかもしれない。どの埋まり方も、責任者が選んだものとは言えない。

日本の職場には、これをさらに見えにくくする特徴がある。「今は私が決める」と公言する人がほとんどいない。空白は一人に目立って占められることはなく、各自の小さな決定の山で埋められる。責任者が戻ると、決まりが少し変わっていて、誰が変えたのか分からない。

## 不在の前に決めておくこと

まず、代行者を指名し、紙に書き、全員に伝える。「何かあれば連絡を」では足りない。「私の不在中、この三種類はAが決める。この二種類は私を待つ。この一種類は本社に直接聞く」。日本の会社ではこれを職務代行と呼び、就業規則や決裁権限規程に最初から入っていることが多いが、新しい法人では書かれていないことが多い。

代行者は二番手である必要はない。[役割を採点する](https://nobusato.jp/ja/blog/score-the-role-before-the-person?hsLang=ja)の考え方で言えば、代行者という役割が求めるのは三つで、不在中に決めることを厭わないこと、決めたら報告すること、間違えても隠さないこと。これらは業績の順位とは関係がなく、[組織図に見えない関係の網](https://nobusato.jp/ja/blog/people-not-on-the-org-chart?hsLang=ja)での位置とは少し関係がある。

「待つ」も一つの決定として書いておく。責任者の帰りを待ったほうがよい事柄は確かにある。それなら、それを明記すればいい。この種類は待つ。待つ間、誰が相手に「X日に回答する」と伝えるか。労基署の照会に二週間無回答でいることと、「責任者がX日に帰国し、当日回答する」と明確に返すことは、まったく別の出来事だ。

本社にも一つお願いがある。日本法人に責任者が一人しかおらず、代行者もいないなら、一週間以上は離れさせないほうがいいと私は思う。チームを信用していないからではない。空白の埋まり方は、誰にも制御できないからだ。

バタヴィア号の幹部も、出発するときはすぐ戻るつもりだった。

参考

- [Nautilus: Is This the First Corporate Psychopath? (on Boddy, C. R., Asian Journal of Business Ethics, 2026)](https://nautil.us/is-this-the-first-corporate-psychopath-1286033/)

売上を止める権限を誰に渡しておくかという一段上の問いは、[「コドモンは修正版を待たずに止めた。価値観は売上を失う日に試される」](https://nobusato.jp/ja/blog/codmon-shutdown-before-the-patch?hsLang=ja)に書いた。

筆者

[佐藤伸明](https://nobusato.jp/ja/profile?hsLang=ja)Nobu Sato

日本市場の立ち上げを、人と仕組みから。組織・営業・技術組織の立ち上げについて、日本語・英語・中国語で書いています。

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