佐藤伸明 Nobu Sato

失敗の経験を、証拠として話す

失敗の経験を、証拠として話す

面接官が「失敗した経験を教えてください」と聞く。多くの人が用意している答えの型は、失敗した、Xを学んだ、その後こう改善した、というものだ。この答えは役に立たず、面接官もそれを知っている。

面接官が見ているもの

私が面接で失敗を聞くとき、見ているのはパターンの層だ。負荷がかかったとき、その人がどう動くか。この層は順調なときには見えず、本当の失敗を一つ通してしか確かめられない。

欲しいのは事後の総括ではなく、そのとき何をしたかだ。失敗が起きた週、最初に何をしたか。誰に話し、誰に話さなかったか。いつ駄目だと気づき、気づいてからどれだけ引き延ばしたか。そのときの感情は何だったか。

事後の総括は包装されている。「コミュニケーションの大切さを学びました」は誰でも言う一文で、情報がない。「まだ立て直せると思って、上司に言うまで二週間かかりました」には情報がある。負荷がかかると内にこもり、自分の判断に楽観的すぎる、ということがわかる。

事後の総括· コミュニケーションの大切さを学んだ· その後プロセスを改善した· この経験で成長したそのとき何をしたか· 上司に言うまで二週間かかった· 先に同僚にこっそり聞いた· 駄目だと気づいた日は眠れなかった右側に情報がある

Fig.1二つの話し方。左は包装された結論で誰でも言える。右はそのときの行動と感情で、面接官はこれをパターンと照合する。

七つのパターンのどれかを、面接官は照合している

負荷がかかったときによく出る脱線パターンは七つある。慎重すぎる、傲慢、猜疑、演技的、回避、完璧主義、迎合。面接官は失敗の話を聞きながら、どれに当たるかを照合している。

隠せないし、隠すべきでもない。誰にでも一つか二つあり、面接官自身にもある。面接官が判断したいのは、あるかないかではなく、その一つがチームにすでにあるリスクと共振するかどうかだ。回避型が二人いるチームにもう一人回避型が入れば問題になるが、完璧主義が入れば補い合う。

だから、そのとき何をしたかをはっきり話すほうが、きれいな教訓を話すよりずっと安全だ。本当のことを話せば、面接官が判断するのは適合だ。包装したものを話せば、判断されるのは包装していることだ。

準備の仕方

本当の失敗を選ぶ。「完璧を求めすぎて」の類ではなく。

論理の順ではなく時間の順で話す。何が起き、自分が何をし、次に何が起きたか。

感情まで話す。「そのときはかなり焦っていた」は、「冷静に状況を分析した」より信じられる。

教訓は最後の一文だけ。一文で足り、しかも行動まで具体的に。「それ以来、三日進捗がなければ上に報告すると自分で決めた」。

まだ確信のないところ

日本の面接官には、いまも「失敗 → 反省 → 成長」の型で採点している人がいる。本当の版を話しても加点されないかもしれない。そのときは、型で面接する会社に入りたいかどうかの問題になる。それで不採用になったなら、不採用の読み方を別に書いた。

用意している失敗の話は、そのとき何をしたかの話だろうか。それとも、あとで何を考えたかの話だろうか。


記事にするほどではない日々の気づきは、LinkedIn に書いています。LinkedIn をフォローする

日本市場での立ち上げについて、三言語で書いています。