社長の平均年齢は六十歳超。売る側にとって何を意味するか

連載「日本に入る前に見ておく五つの数字」 · 第3回/全5回
帝国データバンクは毎年、日本の社長の平均年齢を調べている。2025年は60.8歳。1990年は54.0歳で、三十五年連続の上昇、例外の年はない。70歳以上の社長が四分の一、60歳以上が過半数。社長の年間交代率は3.84%で、一社の社長が平均二十六年座り続ける計算になる。
同じ機関の別の数字。日本企業の半数に、後継者が決まっていない。この比率は2017年の66%から下がり続けているが、下がった理由のかなりの部分は、人を探すのではなく廃業を選んだ会社が増えたことだ。
よくある読み方:高齢化
これらの数字はたいてい「日本の高齢化」という見出しの下に置かれ、それで終わる。日本で物を売ろうとする会社にとって、この読み方は何も言っていないのと同じだ。
Fig.1日本の社長の平均年齢、1990年の54.0歳から2025年の60.8歳へ、三十五年連続の上昇。中間の年は帝国データバンクの各年調査の近似値。
方法論の読み方:意思決定の連鎖の問題
私は組織を診るとき「誰に影響力があるか」とは聞かず、意思決定の連鎖をたどる。ある具体的な購買で、誰が最初に相談され、誰の一言で考えが変わり、誰が決めたか。この方法を顧客に向けると、社長の年齢は人口統計から営業情報に変わる。
六十五歳の社長が同じ会社に三十年いて、後継者がいない。この人が購買を決める基準は何か。私が見てきた多くの場合、順序はリスク、信頼、関係で、性能と価格はそのあとだ。新しいものがわからないのではない。別の計算をしている。この仕入先に問題が起きたとき、この年齢の自分に収拾できるか。この決定は次の代に残す面倒にならないか。二十年つきあった仕入先を替えて、向こうにどう説明するか。
こうした考慮は、自社の製品資料に一文字も書かれていない。資料に書いてあるのは機能、効率、投資対効果で、四十歳の購買担当者に向けたものだ。決める人は別のページを見ている。
行動に落とす:三つの決定
この数字が変える参入の判断は、営業資料を誰に向けて書くか、そしていつ行くか、だ。
一つ、資料を二部に分ける。一部は実際に使う人向けで、機能と効率を書く。もう一部は決める人向けで、三つの問いにだけ答える。問題が起きたら誰が来て、どれくらいで来るか。日本にいつまでいるつもりか。いまの仕入先を置き換えるのではなく、どう共存するか。二部目はたいてい一枚で済むが、契約するかどうかを決める。
二つ、二代目か番頭を見つける。半数の会社に後継者が決まっておらず、残りの半数では後継者の多くがすでに社内にいる。帝国データバンクの2025年の数字では、新社長のうち内部昇格が36%で、初めて同族承継の32%を上回った。その人はいま専務か常務か、あるいは正式な肩書きはないが全員が従う古参の番頭かもしれない。貸し借りの帳簿の最大の債権者であり、次に決める人でもある。いま接触するのがいちばん安い。
三つ、承継の年を見張る。社長は平均二十六年座るので、承継は一世代に一度の出来事だ。新社長の就任初年度は、仕入先の名簿全体が見直される唯一の窓になる。前任者と違うことを示す必要があり、既存の仕入先との二十年の関係もまだないからだ。市場マップの目標顧客に社長の年齢と承継の状態を書き込み、七十歳以上で後継者未定の会社は、三年以内に窓が開く会社として印をつける。
「検討します」との関係
日本の顧客の「検討します」は、引き延ばしではなく、意思決定の連鎖の上にまだ頷いていない人がいる、という意味であることが多い。その人はたいていこの社長だ。購買担当者とどれだけ話が合っても、そこを通らなければ「検討します」になる。それがわかれば、待つ時間を別のことに使える。二部目の資料をその人の手元に届ける方法を考えることだ。
自分で確かめる
自社の日本の目標顧客名簿の上位二十社、社長は何歳か。後継者が決まっている会社は何社か。この二列が空白なら、営業は見えない相手と交渉している。
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