佐藤伸明 Nobu Sato

シャオミの日本の店舗はアップルに迫る。なぜ一号店は埼玉だったのか

シャオミの店舗はアップルに迫るなぜ一号店は埼玉か

シャオミは2019年12月に日本に入り、最初の五年はポップアップ店だけだった。2025年3月22日、最初の常設店を開く。渋谷でも銀座でもなく、埼玉県のイオンモール浦和美園。都心から電車で一時間、一階の中央寄りの角、隣は3COINS、約130平米。

2026年7月18日の名古屋店で、シャオミの日本の店舗は10になった。アップルは11。東洋経済は3月に「店舗数アップル超え」の見出しを使ったが、私の数え方では迫っているところで、まだ超えてはいない。ただ、この二つの数字を並べると、どちらが多いかより面白いことが見える。アップルの11店はすべて都心の旗艦の立地にあり、シャオミの10店のうち9店は郊外と近郊のショッピングモールにある。

どこに出すかの前に、誰に売るか

一号店の品揃えは160点以上。中心はスマートフォンだが、実際に場所を取っているのは炊飯器、エアフライヤー、ロボット掃除機、空気清浄機、体重計、テレビだ。シャオミ・ジャパンの商品企画の責任者は開店時に、スマートホーム製品の価値を見てもらえる店にし、通路を広くして家族で回れるようにした、と語っている。

立地の理由は、この一言でほぼ説明がつくと思う。スマートフォンを買う人は渋谷に行く。炊飯器を買う人は行かない。家族で週末に回り、ついでにエアフライヤーを買う場所は、イオンだ。イオンが客の流れを用意し、シャオミはアジアの他の市場ですでにイオンと組んでいたから、区画の交渉もゼロからではない。要するに、シャオミが選んだのは埼玉という地名でもなかった。「モールで家電を買う家族」という客層を選び、その客層が埼玉のモールにいた。

シャオミは郊外のモールで店型を検証してから東京へ入り、同じ型を十店に複製した

シャオミの日本の常設店の出店順、2019〜2026年。Impress Watch、すまほん!!、Appleの店舗一覧より

  1. 2019.12日本参入五年間はポップアップ店のみ
  2. 2025.3常設一号店:埼玉・イオンモール浦和美園都心から電車で一時間、約130平米。検証のための店
  3. 2025.4–9埼玉・川口、千葉いずれもモール
  4. 2025.12東京23区の一号店:亀戸参入から六年後
  5. 2026.3–4関西に一気に四店イオン三、ららぽーと一
  6. 2026.7名古屋、十号店十店のうち九店がモール、同じ店型
比較 アップルは11店、すべて都心の旗艦の立地

多くの会社は一号店を都心に出す。シャオミは一号店を検証に使い、宣伝には使わなかった。

図1 シャオミは2025年3月に埼玉のイオンモール浦和美園で常設一号店を開き、千葉を経て2025年12月にようやく東京23区へ入り、2026年7月の名古屋で十店に達したが、そのうち九店が同じ型のモール店で、都心だけに11店を置くアップルとは逆の順序だった。

広げる順序

二号店は埼玉の川口、2025年4月。次に千葉、その後にようやく東京23区の一号店、2025年12月の亀戸。2026年3月から4月に関西の四店を一気に開き、イオンが三つ、ららぽーとが一つ。7月に名古屋。すべてショッピングモール、すべて同じ店型、各店二百から三百点。

この順序は、日本に入る多くの会社の逆だ。多くの会社は一号店を東京の都心に出す。本社がプレスリリースに載せられる住所を欲しがるのは、無理もない(私も本社の側にいたら、たぶん同じことを言う)。二号店は大阪に出す。「関西も押さえる」ためだ。そして二つの店の家賃が年間予算を食い、来ているのは観光客と見物の人が中心だった、と後から気づくことが多い。シャオミは郊外の低い家賃で店型と客層を先に検証し、同じ型を別のモールに複製した。アップルの型は目的地で、客はそのために来る。シャオミの型は通りがかりで、客はもともとそこにいる。

スマートフォンから家電へ。変えたのは販路

東洋経済のもう一つの判断には同意する。シャオミは日本で、スマートフォンのメーカーから生活家電のブランドに変わりつつある。これは品目の拡大だけではない。日本のスマートフォンの販路は三大キャリアが握っていて、新しいブランドにキャリアの棚の場所はない。家電の販路は量販店とブランド自身の店で、扉は開いている。品目を変えるのは、自分が入れる販路に変えるためだ。誰に売るかを先に決めるの記事はB2Bの話だが、理屈は同じだ。客層が販路を決め、販路が立地を決める。

日本に入る会社が借りられること

私なら、一号店は検証に使い、宣伝には使わない。家賃が抑えられ、客の流れが安定し、狙う客層と重なる場所を選び、六か月で坪効率と再来店を見てから二号店を決める。

立地の基準から「東京」を外し、「自分の客は週末どこにいるか」に置き換える。シャオミならイオン。B2Bのソフトウェア会社なら大阪の工業団地かもしれず、飲食のブランドなら通勤客の沿線かもしれない。

店型を型にする。シャオミの十店は同じ店で、だから十号店の準備は一号店よりはるかに速い。日本の商業施設は新しいブランドへの審査が厳しく、イオンで検証された型は、ららぽーとでは通行証になる。

アップルの店が銀座にあるのは、アップルの客がそのために銀座へ行くからだ。自社の客は、自社のためにどこへ行くだろうか。答えが「どこへも行かない」なら、店は彼らがもともと行く場所に出すしかない。


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