佐藤伸明 Nobu Sato

会社より、上司を選ぶ

会社より、上司を選ぶ

退職代行の調査で、利用者が挙げる理由の上位は「上司が怖い」と「自分から言い出せる環境がない」だ。パーソル総合研究所の調査では「上司が怖い」が28.8%、エン・ジャパンの調査では利用者の六割が、上司が話しやすければ使わなかったと答えている。数字は退職代行の記事に書いた。

人は会社からではなく、上司から離れる。紹介の仕事では常識だが、面接で自分の次の上司を逆に見ている候補者は、ほとんどいない。

なぜ上司なのか

退職理由の記事で四層モデルを書いた。退職調査が聞けるのは外側の二層で、人が本当に辞めるのは内側の二層か、上司のせいだ。環境の層はまさにこの話で、同じ人でも上司が変われば成果は三倍違う。

会社はブランドで、上司は毎日八時間の環境だ。ブランドは履歴書に載り、上司は毎日の気分に載る。

面接で逆に見る

日本の面接で候補者が質問できるのは、ふつう最後の五分だ。この五分は会社ではなく、上司に使う。

三つの質問、どれも意見ではなく出来事を聞く。

一つ目。「このチームで最近誰かが辞めたのは、どんな理由でしたか」。辞めた人をどう語るかを見る。責任を全部相手に置く人も、全部自分に置く人も、注意が要る。

二つ目。「前回、部下と意見が合わなかったとき、最後はどう決めましたか」。説得されたことがあるかを見る。一度もない人は、この先もない。

三つ目。「入社したら、最初の三か月でいちばんやり遂げてほしいことは何ですか」。具体的に答えられないなら、何をさせるかをまだ考えていない。入ったあと、自分が漂うことになる。

1. 最近誰かが辞めたのは、どんな理由でしたか辞めた人をどう語るか2. 部下と意見が合わなかったとき、どう決めましたか説得されたことがあるか3. 最初の三か月で何をやり遂げてほしいですか何をさせるか考えているか

Fig.1面接の最後の五分で聞く三つ。どれも意見ではなく出来事を聞く。

面接の外で

面接で会う上司は、いちばん良い版だ。できれば、その人の部下だった人と十分だけ話す。日本の市場は人のつながりが短く、エージェントか共通の知人をたどれば、たいてい見つかる。聞くのは一つでいい。「あの人は、追い込まれたときどうなりますか」。

脱線パターンは負荷がかかったときにしか現れない。私が候補者を見るときの方法で、面接官が失敗を聞くのも同じ理由だ。上司に当てても同じことが言える。

入ったあとに上司が変わったら

入社後に上司が変わるのはよくある。そのときは上の三つの問いをもう一度やる。ただし面接ではなく、日常の観察で。半年たっても答えが見えないなら、それを新しい面接だと思えばいい。

まだ確信のないところ

スタートアップや小さい会社では上司が社長で、この聞き方は変える必要がある。また自律の動機が一位の人は、もともと上司への感度が低く、この記事はそれほど重要ではない。

前回の面接の最後の五分、次の上司に何を聞いただろうか。


記事にするほどではない日々の気づきは、LinkedIn に書いています。LinkedIn をフォローする

日本市場での立ち上げについて、三言語で書いています。