佐藤伸明 Nobu Sato

人と職位は合うのか:五段階判定

人と職位は合うのか:五段階判定|加重平均はとらない。一票否決、最弱の層、五段階の順で決める

採用が外れたあとで面接の記録を読み返すと、問題がそのとき既に書かれていることが少なくない。どこか一つの層がはっきり合わず、ほかの層はとても良い。加重平均をとると、その一つの弱さはほかの強さに隠れてしまう。そして入社後に問題が出るのは、まさにその層だ。

候補者を点数で評価する会社は多い。スキルに何割、経験に何割、カルチャーへの合い方に何割と重みをつけ、合計が一定の点を超えたら採用する。

私はこの計算をしていない。

まず職位のほうも四層に分ける

人を内核、パターン、装備、環境に分けるなら、職位も同じ四層に分ける。そうすれば層ごとに突き合わせられる。求人票と履歴書を並べて見比べるのとは、かなり違う作業になる。

職位の内核は、その職位が人にどんな動機を満たせるか、その組織が何を許さないか。職位のパターンは、圧力がどこから来て、曖昧なところがどれだけあるか。職位の装備は、求められる能力。職位の環境は、上司が誰で、誰と組み、会社がどの段階にいるか。

職位の側をどう調べるか。雇う側の会社には、競合を調べるときと同じやり方を使っている。求人票、採用担当の上司の説明、会社の自己紹介は、どれもまず「主張」として記録する。事実として扱うのは、会社が実際にどう動いているかのほうだ。審査がどれだけ厳しいかで、営業が毎日どれだけ断られるかが決まる。事故が起きたとき誰が処分され、誰が昇進したかで、その組織が本当に何に報い、何を罰しているかがわかる。

合うかどうかは両方向で見る。「職位が求めるものを、この人は持っているか」だけを見ると、入った人は辞めていく。「この人が求めるものを、職位は与えられるか」だけを見ると、入った人は仕事が回らない。

一票否決の項目を先に見る

次の五つのどれかに当てはまれば、その先の判定は要らない。

  1. その人がいちばん求めているもの二つを、職位が満たせない。
  2. その人の譲れない一線が、組織の実際の賞罰とぶつかる。
  3. 圧力の下での脱線パターンが、組織の脱線パターンと同じ意思決定の流れの上で重なり、互いに増幅する。
  4. 職位の要件のうち「入社後には育てようがない」ものを、その人が持っていない。
  5. その人とこの環境の組み合わせが、消耗を生む。

最初の三つは、人とこの組織の問題だ。この会社のどのポジションに置いても成り立たない。あとの二つは、人とこの職位の問題で、別のポジションなら成り立つかもしれない。

一票否決の項目は、確かめられたものだけを数える。疑いにとどまるなら、面接で最初に証拠を取りにいく問いとして書いておく。

通ったら、いちばん弱い層を見る

四つの層に一つずつ点をつける。点は整数だけにする。迷ったら中間の点でごまかさず、「要検証」と書く。そのうえで、いちばん弱い層に合わせて判定を決める。非常に合う、合う、普通、合わない、まったく合わない、の五段階だ。

ここには意図した仕掛けがある。スキルは一流でも内核の合い方がそこそこの人は、最高でも「合う」にとどまる。私がむしろ見つけたいのは、スキルはそこそこで、内核がよく合っていて、市場からは低く見積もられている人だ。

証拠が足りないことと、合い方が低いことも、分けて書く。組織診断をしておらず、環境のうち会社側を会社の自己紹介だけに頼っているとき、あるいは人を簡易版で見ただけのときは、判定の上限を「合う」にしている。

給与の折り合い、ビザ、入社時期、競業避止。こうしたものは「話がまとまるかどうか」として別の一行に書き、合い方の判定には入れない。人が合うかどうかと、この話がまとまるかどうかは、別々に考えたほうが見誤りにくい。

判定は、入社後90日の検証で閉じる

入社の前に、最初の90日で確かめるべきことを、配属先の上司に渡しておく。どんな兆しが見えたら判定が当たっていたことになり、どんな兆しなら外れていたことになるか。できれば利害のない人にも一人、見ていてもらう。30日目、60日目、90日目に一度ずつ見る。

90日目には、当時の判定と突き合わせる。振り返らないと、当たった判断も外れた判断も、記憶のなかで同じ重さのまま残ってしまう。それでは方法がいつまでも精度を上げられない。

この部分はまだ草稿の段階にある。構造は決めたが、実際の仕事で一周はまだ回していない。振り返りの記録がある程度溜まったところで、基準をまとめて見直すつもりだ。

候補者の側から、手元の内定をこの方法で見ることもできる。手元の内定に五段階判定をかけるに書いた。

判定が出たら、ようやくお金の話になる。続きは等級・手当・賞与を分けて決めるで。方法論の全体像はこちら。


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