佐藤伸明 Nobu Sato

代理店が自社製品を売らない理由

代理店が自社製品を売らない理由

代理店と契約し、説明会を開き、製品はカタログに載った。半年たって、注文は一件もない。本社が理由を聞き、日本法人は代理店が積極的でないと答える。代理店を替え、また半年、同じことが起きる。

代理店をどう探し、どう契約するかは代理店開拓の記事に書いた。この記事は契約したあとの話だ。なぜ売らないのか、どうすれば売るのか。

まず、代理店の営業担当者の一日を見る

代理店は一人ではなく、数十人の営業担当者だ。一人が十数、ときに数十のブランドを持ち、一日に三、四件の顧客を回る。顧客が「何か新しいものはあるか」と聞き、営業は頭の中から一つ選んで話す。選ぶ基準はどの製品が良いかではなく、どれがいちばん楽かだ。いちばん慣れていて、資料が揃っていて、顧客に答えられない質問をされず、問題が起きても自分に跳ね返ってこないもの。

自社の製品はその人の頭の中で十番目にある。悪いからではなく、新しいからだ。売ったことがなく、資料は英語からの訳で、技術的な質問には答えられず、アフターサービスを誰に頼めばいいかわからない。十番目の製品は、口に出されない。

これが「代理店が積極的でない」の全内容だ。代理店は会社として契約したが、代理店の営業担当者一人ひとりには、自分の習慣を変える理由が何もない。

営業担当者の順位の基準· いちばん慣れている· 資料が揃い、日本語一枚で価格入り· 答えられない質問をされない· 問題が起きても跳ね返らない自社製品:十番目三番以内に動かす· 代理店内に専任担当、自社が報奨· 最初の十件は同行· マージンは段階で、一部は営業へ· 資料は顧客の質問に沿って契約時に契約書へマージンを三割にしても順位は変わらない

Fig.1代理店の営業担当者が製品を選ぶ基準と、自社製品を三番以内に動かす四つの動作。

マージンでは順位は変わらない

多くの会社の最初の反応はマージンを上げることだ。他社が二割なら、三割。これは順位にほとんど効かない。営業担当者が受け取るのは会社の給与と全体の歩合で、一つのブランドの利益が一割増えても、その月の収入にはほとんど影響せず、楽かどうかにはまったく影響しない。マージンは代理店の社長に向けたもので、社長は契約時にすでに見ている。

本当に順位を変えるのは、自社の製品をその人にとっていちばん楽なものにすることだ。三つある。

一、代理店の中に、自社製品の専任担当を置く

自社の人ではなく、代理店の中の人だ。代理店の内部で一人を指定し、自社製品に関する質問はまずその人に集め、その人には自社が出す社内インセンティブか報奨が渡る。この人の役割は、他の営業担当者に「このブランドのことは誰に聞けばいいか」を知らせることで、楽さの段階が一つ上がる。

この人がいなければ、自社の製品は代理店の中で唯一の責任者のいない綱になる。数十人が引き、全員が少しずつ手を抜く。

二、最初の十件は、自社の人が同行する

代理店の営業は、売ったことのないものを売らない。解決策は一つしかなく、最初の数件を一緒に売ることだ。自社の人が同行し、営業が切り出し、自社の人が製品を説明し、営業は顧客の質問にどう答えるかを見る。三回か五回で、自分で話せるようになる。日本の代理店は営業同行を当然のこととして受け入れる。業界の慣行であって、頼み込む話ではない。

最初の十件までの資料は、本社の製品マニュアルではなく、その営業の顧客が聞く質問に沿って作る。日本語で、一枚で、価格入り。顧客にそのまま見せられるものでなければ、持っていかない。

三、マージンは段階で渡し、一度に渡さない

契約時に決めたマージンは、営業担当者のところではもう信号になっていない。マージンは段階に結びつける。最初の十件まで一つの比率、その後は別の比率、年間目標の達成でもう一段。そして各段階の差額の一部は、代理店の口座だけでなく、専任担当と売った営業担当者に明確に流れるようにする。

これは四つの人間関係の記事と同じ話だ。代理店の社長と自社は市場の関係で、比率で換算する。代理店の営業担当者と自社のあいだに要るのは、本人に見えて、本人の動きに結びついた金だ。

代理店を替えるべきとき

三つをやって、それでも半年注文がなければ、そのとき初めて代理店の問題だ。見るのは一つ、自社の製品を正しい層の顧客に届けているかどうか。企業の九割九分が中小企業に書いたとおり、代理店はある層の顧客に対する販路だ。主な顧客が小規模店の代理店は、中堅企業向けの製品を売れない。どれだけ努力しても売れない。その場合は替えるのが正しく、替えるときは規模より先に顧客の層を見る。

替えるべきでない場合もある。その代理店が業界の老舗で、迂回できない顧客を握っているときだ。半年注文がなくても残す。ただし「主販路」から「参入のための販路」に位置づけを変え、主販路は別に探す。

契約の前にやっておくこと

上の三つは、契約時に契約書に入れるのがいちばんよい。専任担当の指定とその報奨、最初の十件の同行の取り決め、段階的なマージン。契約後に持ち出すと、代理店は条件を追加されたと感じる。最初の一人の記事で、法人の最初の一人は営業でないほうがいいと書いた。ここも同じ理屈の延長で、代理店の線で最初にやるべきは代理店を増やすことではなく、一つの代理店の中で自社の製品を十番目から三番以内に動かすことだ。

自社の代理店で、自社製品を担当している人の名前を言えるだろうか。言えなければ、答えはここにある。

ロボットのように据え付けと保守が要る商材では、代理店の独占権が認証の完了まで動かないこともある。中国のロボット密度は日本を抜いたのかでは、その条件を一つの契約から読んでいる。

代理店をまったく通さずに日本で稼いでいる例としては、中国のモバイルゲームがある。数字は「中国ゲームは日本でいくら稼ぐか」にまとめた。


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