佐藤伸明 Nobu Sato

人より先に、職位を採点する

人より先に、職位を採点する

連載「人は組織図どおりには動かない」 · 第12回/全13回 · 第三部 · 人はなぜ動くのか
序章:組織図に載っていない人

一つの職位で二年に三人が入れ替わった。辞めた理由はそれぞれ違う。成長がない、細かすぎる、自分の仕事が何の役に立っているか見えない。会社の結論は採用基準を上げること。私の結論は違う。三人は同じことを言っていて、この職位そのものが及第点に届いていない。

職位を採点する五つの次元

リチャード・ハックマンとグレッグ・オルダムは1976年に職務特性モデルを提唱し、「その職位そのものが人を取り組ませられるか」を、採点できる五つの次元に分けた。

技能の多様性。その職位でいくつの異なる能力を使うか。タスクの完結性。一つの完結した仕事をするのか、断片をするのか。タスクの重要性。その仕事が他者にどれだけ影響するか。自律性。どうやるか、いつやるかを、どれだけ自分で決めるか。フィードバック。やり終えたあと、仕事そのものから出来の良し悪しがわかるか。

前の三つはその仕事に意味を感じるかを決め、四つ目は責任感を、五つ目は結果を知っているかを決める。五つとも低い職位では、誰がやっても半年から一年で取り組みを失う。本人の資質とはあまり関係がない。

このモデルには四十年以上の実証の支えがあり、論点は二つだ。五項目の重みは等しいか(原型は乗法の式を使い、のちの研究の多くは単純な加算を使う)、そして個人差(五項目への感度が低い人がいる)。どちらの論点も、点検表としての使い方には影響しない。

技能の多様性いくつの能力を使うか4/5タスクの完結性完結した仕事か断片か1/5タスクの重要性他者への影響2/5自律性どれだけ自分で決めるか1/5フィードバック仕事から結果がわかるか1/5例:本社窓口の職位 9/25、先に職位を直す

Fig.1五つの次元に1〜5点をつける。例は典型的な「本社との窓口」の職位で、合計9点、15点の線を下回る。

日本法人で点の低い職位はどんな形か

いちばん多いのは「本社との窓口」の職位だ。毎日、本社の要求を現地に訳し、現地の状況を本社に報告する。技能の多様性は高いが、タスクの完結性はほぼゼロ(いつも他人の仕事を伝えている)、自律性は低い(どちらの側のことも本人が決めていない)、フィードバックは低い(うまくいけば両側の手柄、いかなければ本人の伝え方のせい)。この職位は構造的空隙の記事で書いた。点が低い理由は、決定権を与えていないことだ。

二つ目は、細かく切られすぎた職位。本社が数千人の分業で切った職位を、五人の法人にそのまま持ち込む。ある種類の契約の確認だけをする人、ある系統の入力だけをする人。完結性も重要性も低く、本人は自分の小さな一片と会社の関係が見えない。

三つ目は、フィードバックのない職位。日本の会社の年次評価は年末に一度だけのことが多く、残りの十一か月、本人は自分の出来を知らない。これは構造的なフィードバックの欠如で、上司の伝え方の問題ではない。

設計上の結論:採用の前に採点し、低ければ先に職位を直す

この五項目を職位要件の画像に加え、募集要項を書く前に埋めることを勧めたい。各項目1〜5点、合計15点未満の職位は人を採らず、先に職位を直す。

直し方はたいてい具体的だ。完結性が低いなら、前後の一、二工程を取り込み、一つのことを最初から最後まで担当させる。仕事が小さくなってもよい。自律性が低いなら、伺いなしで決めてよいことを三つ明記する。自律の項目と同じ動作だ。フィードバックが低いなら、この職位に本人が自分で見られる指標を一つ与え、週次で更新する。年末を待たない。重要性が低いなら、仕事の受け手に直接会わせる。四半期に一度でもよい。

直してからもう一度採点し、線を越えてから人を探す。順序を逆にすると、冒頭の二年で三人の話になる。

方法論への接続

人と職位の適合を見るとき、私は先に否決項目を通し、次に最も弱い層を見る。だがその前にもう一段ある。職位そのものが線を越えているか。越えていなければ、適合をどれだけ細かく見ても、悪い職位に耐えられる人を探しているだけになる。この五項目が私の職位要件の画像の一ページ目で、候補者の四層の画像が二ページ目だ。

自社でいちばん人が入れ替わる職位は、五項目の合計が何点だろうか。

連載
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